2020年のKyashを振り返る
はじめに
このエントリーはKyash Advent Calendar 2020 の22日目の記事です。
私は今年からVPoEとしてチーム作りなどを行っています。COVID-19の影響もあり採用やチームマネジメントで難しい時期になりましたが、プロダクトや組織といった観点で2020年のKyashを振り返りをしたいと思います。技術に関してはチームメンバーが取り組んでくれているBlogのリンクを掲載していますので、是非そちらもご覧いただきKyashのことをより知っていただけたら嬉しいです。
プロダクト
2020年にリリースした機能を振り返ってみたいと思います。決済機能の強化や資金移動ライセンス取得に伴うバンキングへの1歩目を開始することができ、大きな節目を迎えた年になったと思います。
決済機能の強化
2020年は決済機能の改善に積極的に取り組みました。2018年のKyash Card Liteの提供以降、会社としても継続して改善に取り組んでいる領域になります。今年特に大きかったものとしては下記の3点です。
KyashではVisa決済とQUICPay+に関するシステムを内製しているので、上記対応に必要な開発を全て自社で行なっています。外部の決済仕様書を確認し、自社システムに組み込むのは言葉以上にハードルが高い作業ですが、入社したばかりのメンバーも積極的に取り組み、リリースに大きな貢献をしてくれています。開発の裏側などはプロジェクトに携わったメンバーが執筆したBlogなどもありますので、そちらも是非参考にしてください。VisaやQUICPay+に関連する開発の話は書けないことも多いですが、出来る限りの情報発信はしていこうと考えています。
資金移動ライセンス取得
会社のミッションである「価値移動のインフラを創る」を達成すべく資金移動ライセンスを取得し、銀行口座からの入金と出金に対応しました。これまで決済機能を重点的に改善してきたKyashにとっても非常に大きなマイルストーンを達成したと考えています。プロダクトマネージャーによる開発の裏側についてのエントリーもありますので是非見てみてください。
今回銀行システムとの接続が追加になったことで、ますます開発において慎重さや安全性が要求されています。お客様の資金を安全に管理し、トラブルが起きても影響範囲を如何に小さくするか等、技術課題の質(難易度)が上がってきていると感じています。下記のBlogは銀行システムからチャージや出金機能の開発を担当しているTech Leadが書いてくれた記事で、マイクロサービスにおけるトラブルの影響範囲を最小限にするための取り組みを書いてくれています。
また、社内でも大きな変化だったのはライセンス形態に応じた供託の仕組みを作ったことです。ライセンスや経理の知識を理解しつつこの仕組を開発してくれた担当エンジニアがblogにしてくれていますが、私自身初めて知ることだらけで勉強になりました。プロダクト機能にフォーカスされてしまいがちですが、ライセンスの運用を支えるエンジニアリングが必要なこともKyashの特徴だと考えています。
組織
チームが大きくなり、昨年よりも多くの機能をリリースすることが出来ました。リリース数の多さだけでなく、採用や開発体制の見直しなど今年は色々なチャレンジができたことを嬉しく思います
リポジトリオーナーを明確にし、マイクロサービスの品質に責任を持つような組織構成に移行
Kyashではサービスローンチ当初からマイクロサービス化していましたが、バックエンドエンジニア全員が全てのマイクロサービスを見るという状況が続いていました。1機能を実装するために1人のメンバーが複数のマイクロサービスに跨って開発を行っていたのです。そのため特定の機能の属人化が進み、ドメイン知識やマイクロサービスの責務で見た時にアンバランスなのを感じました(マイクロサービスαのA機能はXさんが詳しい、B機能はYさんが詳しいと言ったイメージです)。また、障害を検知するアラートが起きても初速が出ないようなことが度々起きていました。
そこでSoRやSoEの観点や業務知識の観点でチームを分割し、責務を持つリポジトリを割り当てました。また、このタイミングからリポジトリのカバレッジを上げていく活動も開始しました。チームでリポジトリやドメイン知識のノウハウを蓄積し、コードの質を向上させることで全体的な生産性を上げることが狙いです。
しかし、現状ではカバレッジのトラッキングしか出来ていない状況です。VPoEとしては将来的に開発生産性を落とし、ローンチスピードに致命的なダメージを与える状況があり得るということを経営陣に伝え、開発生産性や品質向上への投資に対して納得感を得るのが責任だと考えていますので、来年の大きなテーマになりそうです。
採用
コロナ禍という難しい時期ですが、中途採用にて多くの仲間がKyashに入社してくれました。プロダクト開発を支えるサーバサイド、モバイルチームの強化はもちろん、QA、セキュリティ、データ、不正対策、会計/経理エンジニアなど今年になって多くのチームを立ち上げたことも大きな成果でした。
マネジメント視点では、選考を経て入社したメンバーが成果を出せるまでが採用活動になるので、成果を得るまで非常に長いリードタイムが掛かりますが、昨年比約300%の採用結果を出せたことは非常に嬉しく思います。来年は「Kyashを知っていただき選考を経て入社したメンバーが成果を上げるまで」を採用活動として定義し、それぞれのフェーズで細かく数値を追いながらPDCAサイクルを回すようなやり方を試してみたいと思っています。
さいごに
今年1年を振り返ろうとすると相当のボリュームがあることに気づきました。このエントリーに記載していない出来事も沢山ありましたが、昨年より多くのトピックがあったことはチャレンジする機会が増えたことにもなっているはずなのでポジティブに感じています。
まだまだFintechの領域でチャレンジしていく立場ですので、Kyashでは一緒にプロダクトを前進していく仲間を探しています。id:konifar が整理してくれたKyashの採用情報をGithubで公開していますので是非見てみてください。興味があれば @ymzkmct までご連絡ください(DM開放しています)。 各種ポジション絶賛募集中です!