私にとってのエンジニアリングマネージャーの魅力
この記事はEngineering Manager Advent Calendar 2019の12日目のエントリです。
はじめに
現在私はエンジニアリングマネージャー(以下EM)をやっておりますが、最初は決して私自身が望んだキャリアではありませんでした。実際、当時所属していたチームのEMが退職し上司から誘われたことが、私がこのキャリアを歩み始めたきっかけでしたし、EMの魅力や楽しさがわからず漠然とした不安があったのを覚えています。
たしかにEMは大変な仕事ではあるのですが、徐々にEMの仕事の楽しさや魅力を感じるようになってきました。
このエントリーでは、現在スタートアップ企業でEMをやっている私ができるだけ多くの人にその魅力や楽しさを伝え、EMをキャリアの1つとして考えるエンジニアが少しでも増えることを目指します。
私の考えるエンジニアリングマネージャーとは
あくまでも私の考えにはなりますが、EMとはチームのエンジニアがモチベーション高く活躍しつつサービスや事業を成功に導くロールだと思っています。もしよろしければ以前書いた私のManager's READMEも読んでいただけると嬉しいです。
エンジニアリングマネージャーの魅力とは
それではEMの魅力とは一体どのようなものがあるのでしょうか。簡単ではありますが、私自身が感じているものを少しだけピックアップしてみました。
エンジニアのキャリアに影響を与えるサポート
私はメンバーが志向する技術的キャリアに起因するモチベーションがサービスの課題解決とマッチしていることが、エンジニアとサービスの理想的な関係だと思っています。従ってメンバーのキャリアやモチベーションとサービスの課題と解決策をそれぞれ見つける必要があります。私の場合、具体的に下記のようなことに取り組んでいました。
- メンバーとの1on1を経てメンバー自身が考えているキャリア志向を把握する
- メンバーの業務へのモチベーション(どんな業務内容だと高いモチベーションで成果を発揮できそうか)を観察し把握する。1on1で聞くこともあります。
- サービスや担当機能の課題がどこにあるかを他の職種の人にも聞く。プロダクトマネージャーに聞くこともあればセールスやカスタマーサポートのマネージャーとコミュニケーションすることもあります。
- 課題を特定するために自分でサービスや機能に関する数字を出す。
- 解決策を考えてステークホルダーや上司にやるべきだということを(熱く)語る。
メンバーのキャリアやモチベーションとサービスの課題解決が上手くマッチすると、メンバーとサービスがそれぞれ非連続的に成長するのを見てきました。このような体験を機に特定の言語のスペシャリストになったエンジニア、元々エンジニア未経験のメンバーがコミュニティ活動を通して賞を取得したり、マネージャである私が予想もしないスピードで成長をするエンジニアを見ると、大袈裟かもしれませんがキャリアに影響を与えるサポートが少しでも出来たことをとても嬉しく思います。
更にサービスに関連したKPIも非連続的に改善されるのを見ると、これまで戦略的に取り組んできた成果を感じEMをやっててよかったなと強く感じることが出来ました。事業とメンバーの成長を同時に達成できる機会を作ることはとても難しいですが、こういった成果を上げることが出来るのもEMの魅力の1つではないでしょうか。
チームを設計してサービス品質を上げる
状況に応じてチームを組み替えたり、新しいチームを作る仕事もEMの業務の1つだと思います。私の場合は新しいチームを作ったりチームを組み替える際はチームの責務とコミュニケーションの流れに着目しながら検討します。
私が経験してきたのは、質の良くないプロダクト技術に切り出して新しいチームを作ります。するとチームの責務が以前より小さくなり、プロダクトの品質が向上しました。もちろんチームメンバーの努力や目標へのコミットがあることが前提ですが、品質に注目して新しくチームを作ることで大きな成果が出ることを体感しました。サービスパフォーマンスの改善やサービスKPIの非連続的な成長など成果の種類は色々ありましたが、チームを編成することで問題にフォーカスしサービス品質を上げることも可能になるのだということを学びました。
自身でコードを書いて実際に改善することが多かった私にとって、まるでテコの原理のように物事を改善できた感覚があったのを覚えています。このような体験を得ることができ、様々な問題解決方法が取れるのもEMの魅力だと思っています。
採用で新しい風をチームに吹き込む
中途採用はEMに任されている代表的な業務だと思います。中途採用の魅力は素晴らしいエンジニアに多く出会い、入社を経て組織に新しい風を吹き込んでくれることだと思います。スカウトを行い面接を経て入社していただいたメンバーが、期待通りもしくはそれ以上にパフォーマンスを発揮したり新しい挑戦を楽しんでいる様子を見るととても嬉しくなります。
採用で成果を上げるには、まずはチームの課題を把握しチームの弱い部分を補えるスキルを持ったエンジニアをイメージしながら募集要項を作り、転職サイト等でプロフィールを見てメッセージ文面を作りスカウトし、面接でスキルだけでなく社風にもマッチするかを見極める必要があります。また入社後にチームに馴染めるようなオンボーディングの仕組みを整備・推進したり、1on1で入社前と入社後のイメージのギャップを解消します。
今のエンジニア転職市場の競争がかなり厳しい分、色々な選択肢を持つ中で一緒に働くことを選んでくれたメンバーには会社で高い成果を上げるようにフォローしたいと思っています。まるでRPGのように新しい仲間が増えチームが強化されていく過程を見れるのもEMの魅力だと思っています。
おわりに
メンバーサポート、チーム設計、中途採用の3つに絞ってEMの魅力を書いてみました。本来は説明すべきノウハウや実業務の話もありますが、ここでは敢えてそれらを省略しEMの魅力を伝えるよう努力して書いてみました。1人でも多くの人にその魅力が伝われば大変うれしく思います。
最後に
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。 私は今KyashでEMをやっています。まだまだサービスを良くしたいので一緒にKyashの成長にコミットしてくれる仲間を募集しています!もし興味がありましたら募集ページよりエントリーするか、twitterでDMいただけますと嬉しいです。
また、2019年12月23日発売のWEB+DB PRESS Vol114にてKyash開発ノウハウ大公開という特集を組んでいただけることになりました。Visa決済の仕組みの解説やセキュリティの取り組み、新規事業のマイクロサービスのアーキテクチャなどを書いておりますので、サービス内部のことに興味がありましたらお手にとっていただければ嬉しいです。ありがとうございました。