ymzkmctのブログ

マネジメント業をやっています

キャリアを逆算できなかった私へ

こんにちは、CTOの山﨑です。

これは Kyash Advent Calendar 2022 の24日目の記事です。

私はこれまでキャリアややりたいことを逆算して今行動するべきだという考えを持っている一方で、自分がそういった思考や行動をするのが苦手で実際にできていないことがコンプレックスの一つでした。しかし、その時の偶然だったりチャンスを得た結果を積み上げてキャリアを作るという事例を聞いたり、クランボルツ教授による計画的偶発性理論をベースした考えを元に自分のキャリアを整理した結果、そのコンプレックスが解消できたことが個人的に大きなトピックの一つでした。

このエントリーでは私のキャリアに対する考えや行動の一部を紹介すると共に、同じような悩みやコンプレックスを持っている人にとって、何かが変わるきっかけになれば幸いです。

予期せぬチャンスに備える

もともとエンジニアリングマネージャーのキャリアのきっかけは当時所属していたチームのマネージャーの退職に伴い、部長から声をかけていただいたことでした。私はそれ以前から、エンジニアリングに関する知識を高めるだけでなく、リーダーシップの発揮の仕方や周囲との協調性のとり方などの分野にも興味を持っており自主的にキャッチアップしていたことから、マネージャーをやってみないかという想定外のチャンスにも応えることができたのではないかと思います。また、マネージャーになった後には、経営視点でのマネジメントや技術経営、ファイナンスといった分野をキャッチアップしていたからこそ、KyashでCTOの打診を受けた際にも失敗に対する不安もある程度少なかったような気がします(それでも多くの不安はありましたが..)

キャリアを逆算して徐々にステップアップしたような印象を受けたかもしれませんが、実はそんなことは全くありません。私の場合は、自分の好奇心を徐々に広げていった結果でした。もちろんなりたいキャリア像をイメージし、逆算して知識を積み上げていくのが近道のはずではありますが、立ち止まることなく自身の好奇心をフルに使い続ければ、予期しない出来事をチャンスに変えることができるのではないでしょうか。

結果が見えなくてもやってみる

私はCTOという役割ですが、現在は情報セキュリティやガバナンスの強化というテーマに取り組んでいます。プロダクトを作る上でサーバーサイドやクライアントのセキュリティ対策は当然やってきていましたが、情報セキュリティやガバナンスの分野は専門的な知識はありませんでした。しかも金融業界ではそれらが高いレベルで要求され、それはスタートアップも例外ではありません。

未経験で結果がわからない状況ではありましたが、IT業界でもトップレベルに高い水準にチャレンジし成果に結びつくことができたら、後からキャリアを振り返っても必ず意味のあるものになると考え、リスクを取ってチャレンジすることにしました。

当初は採用の募集要項を書くにも時間がかかりましたが、周囲のメンバーにもアドバイスを多分にもらいながら、ゼロトラストやセキュリティマネジメント、PCI DSS等のガイドラインのインプットやキャッチアップをしています。その成果もあり、とても信頼できるリーダーの採用もできましたし会社として大きなセキュリティ方針の意思決定もできました。私自身のキャッチアップはもちろん、チーム作りを含めてトライしている最中です。

成功した後の姿をイメージし、失敗したり間違えるリスクを恐れずチャレンジし、やると決めてからスキルを磨いていくこともキャリア形成の一つになるのではないでしょうか。

目標やロールに固執しない

私のキャリアや会社としてのインパクトを考えた時、実は自分自身がテクノロジー固執しすぎないというかテクノロジーを起点にしすぎないことが重要なのではないかと思っています。

今の職場であるKyashではまだまだ組織としても発展途上であり、伸びしろや課題が山のようにあります。自分自身でコミットメントする領域を限定した結果、会社全体で見た時の重要な問題が解決されていないのであれば、それは本当に意味のあるコミットメントにはならないと考えています。

私個人としてはここを思考して自ら行動していくことが次のチャレンジで、それを考えるとこれまでにトライしてこなかったことが幾つもあり、とてもわくわくしています。

最後に

クランボルツ教授による計画的偶発性理論に対する私の理解を深めるきっかけを作ってくれた尊敬する友人に感謝します。ふとしたきっかけから20年ぶりに偶然再会したことを機に、お互いのキャリアやキャリア感について話始めたことでこのエントリーを作ることが出来ました。

キャリアの偶発性を考えるきっかけ自体が偶然であるという点も含め素晴らしい経験になりました

資金移動業におけるKyashの取り組みをちょっと紹介する

こんにちは Kyashの @ymzkmct です。これは Kyash Advent Calendar 2021 24日目のエントリーです。

今回はKyashで行っている資金移動業における開発チームの取り組みや、システム以外の要件で開発が必要なポイントについて書きたいと思います

はじめに

プリペイドカード発行会社としての側面を持っているKyashですが、今年はカード発行業界にとってとても印象的な1年となったのではないかと考えています。freeeカード Unlimited, BASE Card, マネーフォワード ビジネスカードなど、メイン事業と相乗効果がありつつユニークな機能を持つプリペイドカードが多く登場しました。カード発行のシステムにはPCI DSSというセキュリティ監査基準が要求され、この存在が決済カードビジネスの参入障壁になっていたのではないかと思いますが、インフキュリオン社のXardなど、監査対象のシステムをプラットフォームとして提供するプレイヤーが登場したことでこの課題が解決されています。

決済系のFintechサービスはお客様の資産保全や社会的なインフラも担っており、事業形態や提供する機能によって様々なライセンスやガイドラインが存在します。KyashではPCI DSSの他にも、前払式支払手段発行業資金移動業の登録を受けておりますので、今回は資金移動業の要件に対して開発が関連するものやKyashでの取り組みの一部を書いてみたいと思います。

資金移動業者とはなにか

資金移動業者とは銀行以外のものが為替取引を行う事業者を指します。資金移動業は第一種から第三種までありそれぞれ制約が異なるのですが、Kyashでは第二種資金移動業の登録を受けており100万円以下の為替取引を行うことができます。一般社団法人日本資金決済業協会にも様々な例が記載されておりますが、Kyashは「インターネット・モバイル型」に該当し、銀行口座を紐付けて入金できる機能や入金された残高を銀行口座に出金する機能、入金された残高をATMで引き出す機能はこのライセンスの元で提供されています。

資金移動業登録を受ければ銀行口座から入金や出金の機能の開発ができる!というとそういうわけではなく、資金移動業者ガイドラインによって定められている体制構築や開発の対策が必要になるわけです。

資金移動者 ガイドライン

資金移動者ガイドライン金融庁のHPで公開されており、誰でも確認することができます。

ここからはガイドラインの中でも開発が必要とされる可能性があるものをピックアップして説明してみたいと思います。なおシステム要件以外の説明は実際にKyashの取り組み内容とは異なりますので予めご了承ください。一方、システム要件についてはKyashが実際に取り組んでいる内容の一部を公開しています。

Ⅱ-2-1-2 取引時確認等の措置

Ⅱ-2-1-2-1(3) ① 資金移動業者の行っている業務内容・業容に応じて、システム、マニュアル等により、疑わしい利用者や取引等を検出・監視・分析する態勢を構築すること。 

Ⅱ-2-1-2-1(3) ② 取引モニタリングにおいて、各顧客のリスク評価も踏まえ、適切に敷居値が設定されているか。また、ビジネスモデルを踏まえ、疑わしい取引を検知するためのシナリオが適切に設定されているか。届出をした疑わしい取引事例や届出に至らなかった事例を分析し、届出に至る調査が適切か、定期的にシナリオ、敷居値の見直し作業を適切に行っているか

犯罪収益移転防止法(犯収法)に基づき組織犯罪による金融サービスの利用を防止し、国内の金融事情に対する信頼を確保するための対策です。

要件では利用者の属性や取引の傾向などを元に疑わしい取引や利用者を分析することが求められています。 システム、マニュアル等により という記載がありますので開発が必須ではありませんが、業務を効率化することに対してエンジニアリングで貢献できそうです。

Ⅱ-2-2-2 帳簿書類

Ⅱ-2-2-2-1 ② 帳簿書類のデータファイルのバックアップ等、帳簿書類が毀損された場合には速やかに利用者ごとの未達債務の額を把握・復元できるよう態勢を整備しているか

Ⅱ-2-2-2-1 ③ 帳簿書類の記載内容の正確性について、内部監査部門等、帳簿書類作成部署以外の部門において検証を行っているか。

資金移動業者は、入金されてから送金(決済)されるまでの資金(わかりやすく言うと残高)の100%以上の額を履行保証金として保全する必要があります。少し話が逸れますが、この要件によって資金移動業者が債務不履行となった場合でも、利用者の残高は完全に保証されるのです。話を戻しますが、履行保証金の対象となる残高を未達債務と呼び、この金額の算出が必要になります。

未達債務の正確性の担保だけではなく、バックアップなどの体制も要求されています。システムで算出するだけでなく、その正確性を他チームと連携して検証する体制を作ることが必要です。また、システムによる自動化だけではなく算出データの復元も踏まえてシステムの要件を固める必要があります。

Kyashでは未達債務の算出や帳簿の作成をやる専門チームを作っています。チームミッションや具体的にやっていることは@aofox5152のエントリーを見ていただけると嬉しいです!

https://foxtoy.hateblo.jp/entry/2021/07/19/100223

Ⅱ-2-2-3 利用者に関する情報管理態勢

Ⅱ-2-2-3-1(2) ③ 

ロ.業務上必要とする場合を除き、クレジットカード情報等をコンピューター画面に

表示する際には、カード番号を全て表示させない等の適切な措置を講じているか。

利用者の個人情報を保護するためのガイドラインの中にクレジットカード情報についての取り扱いが言及されています。

カード情報を取り扱うシステムを開発している企業ならPCI DSS Version 3.2における要件3.3にも同様のものがあるので大きな負荷にはならないでしょう。ちなみにPCI DSSでは表示するカード番号は上6桁または下4桁のみ表示がルールになっています。

Ⅱ-2-3-1 システムリスク管理

Ⅱ-2-3-1-1(3) ② システムリスク管理部門は、例えば1日当たりの取引可能件数などのシステムの制限値を把握・管理し、制限値を超えた場合のシステム面・事務面の対応策を検討しているか

この要件はキャパシティプランニングを行っているかどうかです。

制限値を越えてからだと遅いので、Kyashでは定期的に制限値をチェックしボトルネックを調べています。Kyashで利用しているツールやインフラの構成などの取り組み内容は @uncle__ko が記事にしてくれています。

https://unless.hatenablog.jp/entry/2020/12/21/093659

さらに今年はより体系立てて且つ定期的に負荷テストを実施する方針も決めました。その点についても @uncle__ko が記事にしてくれていますのでぜひ御覧ください。

https://unless.hatenablog.jp/entry/2021/12/22/080000

Ⅱ-2-3-1-1(4) ③ コンピュータシステムの不正使用防止対策、不正アクセス防止対策、コンピュータウィルス等の不正プログラムの侵入防止対策等を実施しているか

この対策を上げるときりがないのですが、コーポレートエンジニアリングをやっている @rela1470 が取り組みの一部を記事にしてくれています。

https://rela1470.hatenablog.jp/entry/2021/12/13/000000

https://rela1470.hatenablog.jp/entry/2020/12/23/000000

また、サービス面の取り組みの一部では @yuu26AWS SSMの導入などを記事にしてくれています

https://speakerdeck.com/yuu26/aws-systems-manager-deshi-xian-suru-ssh-resudesekiyuanakuraudoyun-yong

Ⅱ-2-3-1-1(5) ⑤ システムの脆弱性について、OS の最新化やセキュリティパッチの適用など必要な対策を適時に講じているか

上記の要件に対してKyashではtenableというサービスを利用してOSの脆弱性を検知しています(実際には脆弱性検知用のagentを導入します)。このサービスはPCI DSSのASVスキャンレポートという脆弱性がないことの証明書の作成にも対応しており、とても重宝しています。PCI DSSと資金移動業者の両ライセンスを保有している事業者にはオススメです!

さいごに

いかがでしたでしょうか。システム対応についてのKyashの取り組みの全貌はなかなかお話しづらい点もあるのですが、今回ピックアップして記載してみました。

システムのリスク対策やセキュリティ対策以外にも、取引確認や帳簿書類の作成などでエンジニアリングが必要になってきそうな雰囲気がお伝えできたと思います。小規模のチームですとこれらの対応負荷はそれなりに大きいですが、資金移動ガイドラインや法令の中でお客様に価値提供すべく取り組んでいます!!

採用ページで公開されていないポジションもありますが、全方位的に採用を行っていますのでこれらの取り組みに興味がありましたらお気軽にお話しましょう

Kyashではこれからもお客様に価値を届けながらも安心安全なサービスの提供を心がけて参ります!

CTOになって半年の振り返りとこれから

Kyashにサーバサイドエンジニアとして入社しEM、VPoEを経て今年からCTOになりました。早いもので2021年も半分がすぎ、つまりCTOになって半年ですが、取り組んだことをざっと書き出してみました。ただ正直言えないことも多いので、半分くらいしか書けていません

  • プロダクト
    • プロダクト戦略やプロダクトの方向性に対する納得感を醸成出来ていないという課題が1on1や雑談の中で聞こえ始めたので、戦略の背景や以前の戦略との違い、施策の目的などを説明する機会を増やしました。会社として四半期ごとに戦略発表は行っていたのですが、1回言うだけでは伝わりきらないこともありますよね。何度も言うの大事です
    • 2020年10月に事業譲渡したKyash Directのシステム移管が完了。システム移管はキャリアの中でも初めてだったので良い経験でした
  • マネジメント
  • 組織
    • Tech Talkという週一の社内LT会のファシリを担当する。変化や成長に前のめりなチームにしたいので、内容を大事にしつつも参加ハードルを上げすぎないようにしています。また、LT会の後は色々なテーマで雑談会をやっています。リモートワークの状況下だと、意図的に機会を作らないとどんどんコミュニケーションの量が減ってしまいますね
    • プロダクトマネージャー/デザイナー/EM/CEOでプロダクト開発における振り返りを実施。開発プロジェクトのプロセスでいくつかの課題が明らかに。コード品質を担保するためのマイクロサービスベースのチームを維持しつつ、プロダクトミッションを持ったチーム(Squad)の組成を検討中です。マネージャーな人にはSpotifyモデルの検討、と言ったほうが伝わりやすいかも
    • 生産性を向上する目的で技術負債の取り組みの時間を確保すると意思決定する。課題のヒアリングは行い効果の大きさの予測などはもちろんしましたが、結局最後はエイヤでやるぞと決めました
    • Engineering Management陣でグレード毎の成果や期待の明文化を行いました。CircleCIのコンピテンシーマトリクスはめちゃめちゃ参考になりました

こうして書き出してみると足元の課題や取り組みしかできていません。よって2021年残り半年は将来を見据えたアクションに取り組みたいと考えています。1年後の会社やプロダクトを見据え、組織作りや技術投資領域を意思決定し推進していく、というイメージです。

箇条書きで全体的に読みづらかったかもしれません。これからもKyashでは新しいお金の文化を作るべくプロダクト開発をしていきます。組織、技術、プロダクトのテーマに興味があれば絶賛採用中ですので、エントリーをお待ちしております!

https://www.kyash.co/recruit

2020年のKyashを振り返る

はじめに

このエントリーはKyash Advent Calendar 2020 の22日目の記事です。

私は今年からVPoEとしてチーム作りなどを行っています。COVID-19の影響もあり採用やチームマネジメントで難しい時期になりましたが、プロダクトや組織といった観点で2020年のKyashを振り返りをしたいと思います。技術に関してはチームメンバーが取り組んでくれているBlogのリンクを掲載していますので、是非そちらもご覧いただきKyashのことをより知っていただけたら嬉しいです。

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KyashでのEMの1年を振り返る

この記事はKyash Advent Calendar 2019の18日目の記事です。

はじめに

私は2018年11月にKyashに入社した直後からエンジニアリングマネージャーをやっています。このblogでは自分の活動の振り返りも兼ねて2019年に実施した仕事内容を簡単に振り返ろうと思います。

採用

2019年は中途採用でエンジニアチームをより強化することができたのは良かった点の1つだと思います。業務委託さんも含めると2019年でエンジニアチームのメンバー数は約3倍になりました。採用媒体でのスカウト活動や自社で開催するMeetupに加え、buildersconを始めとするエンジニア向けのイベントで登壇する機会が増えたのが功を奏したと思っています。中途採用はマネージャー1人では出来ないので、社内の多くのエンジニアメンバーにも協力していただいています。普段の忙しい時間を割いて外部登壇や採用活動をしっかりやってくれるメンバーには頭が下がる思いです。

一方、採用の成功度合いをヘッドカウントだけで計測する気もありません。入社したメンバーが1日でも早くKyashの開発に慣れて成果を挙げることが出来るように、オンボーディングやサポートする制度をよりブラッシュアップしていく必要があると考えています。

Tech Lead制度を作りました

Kyashは2019年にKyash DirectというtoB向け事業を立ち上げ、開発チームの規模が大きくなったこともありTech Leadというロールを作りました。狙いはビジネスやプロダクトマネージャーの感じている課題に対して技術的なソリューションの支援を行うことや、プロダクトに価値をもたらすような技術的な戦略をプランニングしアクションしていくことです。その他、担当チームの採用活動やプロジェクトのデリバリーや品質や生産性の向上もミッションに入れており、少しヘビー気味だったかなと心配していました。しかしそんな中でTech Leadを自身のキャリアのロードマップと捉え、前向きなフィードバックをもらえたことは大変嬉しかったです。

EMである自分がプロダクト開発のスピードを落としていたりボトルネックにならないように意識しながら権限委譲やミッションを策定することで、開発面の相談がTech Leadに分散し、プロダクト開発のスピードが少しは上がったなと思います。

CREチームを作りました

アドベントカレンダー14日目のKyashでCREはじめましたの記事でもあるように、CREチームを立ち上げました。

CREを立ち上げた経緯は先日参加イベントでLTしたスライドがありますので、是非こちらも見ていただけると嬉しいです。

SoR/SoEを意識したチーム設計

Kyashはこの1年で人も事業も増えました。これまでは、会社のコアとなる技術やサービスに関する知識が属人化されていたり、ノウハウがドキュメント化されていないといった課題がありました。これらの問題を解決するために、開発の無駄をなくし且つSoR/SoEといったチームの特色の違いをうまく活かしながら、プロダクト開発を行うというアプローチを取ることにしました。簡単に言えば、チームの責任範囲を明確にしてナレッジやコミュニケーションをチームに集約させ、チームの力を最大化させようというわけです。

立ち上げ時期の問題でチームの成果が出るのはもう少し先になりそうですが、来期はこのチーム編成でどのような成果がでるか、バイモーダル戦略組織の中でEMがガーディアンとしてどう振る舞えばよいのか等チャレンジ要素がたくさんありそうで楽しみです。

総括

ここに書いていない細かい仕事も沢山ありましたが、会社・事業・技術の変化をマネジメント側面で楽しめた1年だったと思います。来年はメンバーも更に増えると思うので、Engineering Managerチームを組成し開発チームの文化を作って定着させることが個人的に大きなテーマになると思っています。また、会社や事業が加速度的に成長できるように全社的な課題についても解決していけるマネージャーを目指していきたいと思っています

さいごに

WEB+DB PRESS Vol.114でKyash開発ノウハウ大公開という特集を組んでいただきました。Visa決済の解説やセキュリティの取り組み、Kyashで実践しているアーキテクチャに関する内容を書きましたので、興味がある方は是非お手にとっていただけると嬉しいです!

WEB+DB PRESS Vol.114

私にとってのエンジニアリングマネージャーの魅力

この記事はEngineering Manager Advent Calendar 2019の12日目のエントリです。

はじめに

現在私はエンジニアリングマネージャー(以下EM)をやっておりますが、最初は決して私自身が望んだキャリアではありませんでした。実際、当時所属していたチームのEMが退職し上司から誘われたことが、私がこのキャリアを歩み始めたきっかけでしたし、EMの魅力や楽しさがわからず漠然とした不安があったのを覚えています。

たしかにEMは大変な仕事ではあるのですが、徐々にEMの仕事の楽しさや魅力を感じるようになってきました。

このエントリーでは、現在スタートアップ企業でEMをやっている私ができるだけ多くの人にその魅力や楽しさを伝え、EMをキャリアの1つとして考えるエンジニアが少しでも増えることを目指します。

私の考えるエンジニアリングマネージャーとは

あくまでも私の考えにはなりますが、EMとはチームのエンジニアがモチベーション高く活躍しつつサービスや事業を成功に導くロールだと思っています。もしよろしければ以前書いた私のManager's READMEも読んでいただけると嬉しいです。

エンジニアリングマネージャーの魅力とは

それではEMの魅力とは一体どのようなものがあるのでしょうか。簡単ではありますが、私自身が感じているものを少しだけピックアップしてみました。

エンジニアのキャリアに影響を与えるサポート

私はメンバーが志向する技術的キャリアに起因するモチベーションがサービスの課題解決とマッチしていることが、エンジニアとサービスの理想的な関係だと思っています。従ってメンバーのキャリアやモチベーションとサービスの課題と解決策をそれぞれ見つける必要があります。私の場合、具体的に下記のようなことに取り組んでいました。

  • メンバーとの1on1を経てメンバー自身が考えているキャリア志向を把握する
  • メンバーの業務へのモチベーション(どんな業務内容だと高いモチベーションで成果を発揮できそうか)を観察し把握する。1on1で聞くこともあります。
  • サービスや担当機能の課題がどこにあるかを他の職種の人にも聞く。プロダクトマネージャーに聞くこともあればセールスやカスタマーサポートのマネージャーとコミュニケーションすることもあります。
  • 課題を特定するために自分でサービスや機能に関する数字を出す。
  • 解決策を考えてステークホルダーや上司にやるべきだということを(熱く)語る。

メンバーのキャリアやモチベーションとサービスの課題解決が上手くマッチすると、メンバーとサービスがそれぞれ非連続的に成長するのを見てきました。このような体験を機に特定の言語のスペシャリストになったエンジニア、元々エンジニア未経験のメンバーがコミュニティ活動を通して賞を取得したり、マネージャである私が予想もしないスピードで成長をするエンジニアを見ると、大袈裟かもしれませんがキャリアに影響を与えるサポートが少しでも出来たことをとても嬉しく思います。

更にサービスに関連したKPIも非連続的に改善されるのを見ると、これまで戦略的に取り組んできた成果を感じEMをやっててよかったなと強く感じることが出来ました。事業とメンバーの成長を同時に達成できる機会を作ることはとても難しいですが、こういった成果を上げることが出来るのもEMの魅力の1つではないでしょうか。

チームを設計してサービス品質を上げる

状況に応じてチームを組み替えたり、新しいチームを作る仕事もEMの業務の1つだと思います。私の場合は新しいチームを作ったりチームを組み替える際はチームの責務とコミュニケーションの流れに着目しながら検討します。

私が経験してきたのは、質の良くないプロダクト技術に切り出して新しいチームを作ります。するとチームの責務が以前より小さくなり、プロダクトの品質が向上しました。もちろんチームメンバーの努力や目標へのコミットがあることが前提ですが、品質に注目して新しくチームを作ることで大きな成果が出ることを体感しました。サービスパフォーマンスの改善やサービスKPIの非連続的な成長など成果の種類は色々ありましたが、チームを編成することで問題にフォーカスしサービス品質を上げることも可能になるのだということを学びました。

自身でコードを書いて実際に改善することが多かった私にとって、まるでテコの原理のように物事を改善できた感覚があったのを覚えています。このような体験を得ることができ、様々な問題解決方法が取れるのもEMの魅力だと思っています。

採用で新しい風をチームに吹き込む

中途採用はEMに任されている代表的な業務だと思います。中途採用の魅力は素晴らしいエンジニアに多く出会い、入社を経て組織に新しい風を吹き込んでくれることだと思います。スカウトを行い面接を経て入社していただいたメンバーが、期待通りもしくはそれ以上にパフォーマンスを発揮したり新しい挑戦を楽しんでいる様子を見るととても嬉しくなります。

採用で成果を上げるには、まずはチームの課題を把握しチームの弱い部分を補えるスキルを持ったエンジニアをイメージしながら募集要項を作り、転職サイト等でプロフィールを見てメッセージ文面を作りスカウトし、面接でスキルだけでなく社風にもマッチするかを見極める必要があります。また入社後にチームに馴染めるようなオンボーディングの仕組みを整備・推進したり、1on1で入社前と入社後のイメージのギャップを解消します。

今のエンジニア転職市場の競争がかなり厳しい分、色々な選択肢を持つ中で一緒に働くことを選んでくれたメンバーには会社で高い成果を上げるようにフォローしたいと思っています。まるでRPGのように新しい仲間が増えチームが強化されていく過程を見れるのもEMの魅力だと思っています。

おわりに

メンバーサポート、チーム設計、中途採用の3つに絞ってEMの魅力を書いてみました。本来は説明すべきノウハウや実業務の話もありますが、ここでは敢えてそれらを省略しEMの魅力を伝えるよう努力して書いてみました。1人でも多くの人にその魅力が伝われば大変うれしく思います。

最後に

最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。 私は今KyashでEMをやっています。まだまだサービスを良くしたいので一緒にKyashの成長にコミットしてくれる仲間を募集しています!もし興味がありましたら募集ページよりエントリーするか、twitterでDMいただけますと嬉しいです。

また、2019年12月23日発売のWEB+DB PRESS Vol114にてKyash開発ノウハウ大公開という特集を組んでいただけることになりました。Visa決済の仕組みの解説やセキュリティの取り組み、新規事業のマイクロサービスのアーキテクチャなどを書いておりますので、サービス内部のことに興味がありましたらお手にとっていただければ嬉しいです。ありがとうございました。